季節に色があると知った日
色づく世界の明日から
私は、人生の半分以上は精神が病んでいる。それを救ってくれたカウンセラーの体験談を書こう。
私は、生きにくい性格の持ち主で、虐待やらいじめも受けてきたしDVなんかも受けてきて結果病んだ。
気が付いた時には、精神病院の病棟にいたんだ。
「あれ?私、働いてたはずなのに」
「一人暮らししてたアパートもあるのに」
倒れて目が覚めたら閉鎖病棟ってなんだよ。
私はぶち切れて、着せられたパジャマを破った。
鉄格子の中にいる自分がいかにも異常者みたいで心底不快だった。
監視カメラ付きの個室は、板の間に布団が敷かれていた。
トイレは丸見えでトイレットペーパーもない。
地獄のようだ。
少しづつ回復傾向へ
何度か入退院を繰り返しながらも、少しづつ治癒していく私。しかし、10年通院しても摂食障害やら過呼吸症候群やら様々な症状が私を苦しませる。
社会復帰をしても無理をすればすぐ「うつ」と診断され仕事を辞めることになる。
私の人生ってなんなんだろう?と自問自答しながら生きていました。
そんな中、知り合った先生は「薬での治療には限界があるから、違う方法も模索しては?」と言ってきた。
精神薬ではない治療。
そんなの考えたこともなかったよ。
カウンセラーとの出会い
母の紹介で、あるカウンセラーとの面会があった。その先生は田中と言い、どこにでもいそうな普通のオジサンで白衣も着ていない。
広いテーブルをはさんで1時間ほど話をした。
田中先生は、物静かな語り口で私の話を聞いてくれて生きづらさを理解してくれた。
そして、毎回ひとつずつアドバイスをくれた。
数年間、田中先生の元に通っているうちに社会復帰もできたし、自分らしさや幸せを知ることができて2時間かかる道中も楽しかった。
私の話し方や表現が面白いと言ってくれる先生だった。
飲み込みが早かった私に見えたもの
ある時、花を自分に例えて話してみたことがある。その頃の私は、だいぶ回復傾向にあった。
帰路、今まで見ている景色がまるで違う色を放っている気がした。
ゆずの「夏色」という歌があるけれど季節に色があるのか?と思っていた私。
しかし、目の前に広がっている景色は間違いなく「夏色」を放っていた。
景色に色がついている。
風景が輝きに満ちている。
それを感じられる自分がいる。
車を運転していた私は路肩に止めて、泣いた。
何十年間も知らなかった事を少しづつ知っていく自分が愛おしいと感じたんだ。