スポーツアジェンダ

アンダーテイカー

若き頃のアンダーテイカー

世界最高補のプロレス団体として長い間君臨しているWWE。

そんなWWEの選手といえばかなり曲者が多いことでも知られている。

五輪金メダリストのカート・アングル。

後にハリウッドのスターとなるドウェイン・ジョンソンことザ・ロック。

すさまじいエゴとプライドを重ね持った彼らをコントロールできるなど普通の選手ではできない。

だが、そんなWWEの選手の代表として長い間君臨していた男がいた。


その男の名前はアンダーテイカー。
地獄の墓掘り人としても有名な男である。

そんなアンダーテイカーことマーク・キャラウェイは1965年に、アメリカテキサス州でこの世に誕生した。

元々は大学でバスケを学び、経営学に精を出していた彼であったがプロレスラーを目指すこととなった。
当時は1980年代、世界中でプロレスがブームを迎えていたのだ。

やがて、1984年に現在でも世界最高のプロレスラーとして名高いブルーザー・ブロディと試合を行いデビューすることとなった。

当時、プロレスのことなどあまり知らなかったテイカーはブロディにコテンパンにされてしまい挫折を経験した。


ちなみに当時のリングネームはテキサス・レッド。
覆面レスラーでイマイチなキャリアをしていたのだった。

その後、このままではいけないと感じたテイカーはアグレッシブなファイトスタイルに変更した。

そんな中、1988年にブルーザー・ブロディが刺殺されて死亡するという悲劇がおきた。

この時、テイカーは決意をした。
二度とこのようなことはおきさせない。

そのためにはバックステージを支配する必要がある、政治力を身に着ける必要があるのだと。

そして、1990年アンダーテイカーはWWFに入団することとなるのだった。


入団のきっかけとなったのは「超人」ハルク・ホーガンの出演した映画に出演したことがきっかけだった。

ホーガンは彼の才能に見惚れていたのだ。
WWFに入団した彼はリングネームを「アンダーテイカー」に変更した。

フランケンシュタインとドラキュラを混ぜた神秘的なキャラクターで、当時団体の主人公にいたハルク・ホーガンのライバルとして団体の頂点に立つこととなった。

やがて、1994年にホーガンがWWFからWCWに蔵替えを果たした。

かくして、団体の主人公が変わる頃にきていたのだ。



バックステージの頂点捕食者

ホーガンが抜けた後のWWFは混迷としていた。

そのころのWWFを支配していたのはクリックと言われる若手レスラーの集まりだった。
彼らは自分の都合のいいように脚本を書き換える節があった。
その時、テイカーは気が付いた。


このままではブルーザー・ブロディのような犠牲者がでる。


ブロディがプエルトリコで殺されたのは彼が自分より軽量級のレスラーと試合をしたがらなかったことにあると多くのレスラーではいわれていた。
わがままを連発すれば暴力沙汰になる。

そうすれば最悪死人すらでる。

何よりも団体がこれ以上もたなくなる。


ある日、テイカーはクリックのリーダーであったショーン・マイケルズに詰め寄った。

自分勝手なショーンは自分の都合で他の選手にいやがらせをしたり、脚本を変えてしまう自堕落な男だった。

テイカーはそんなショーンにバックステージで胸倉をつかみ脅した。
「やる気がないならやめてしまえ」
傍若無人なショーンであったが、アンダーテイカーには押し負けた。

彼には逆らってはいけない独自のカリスマ性があった。

また身長210㎝あるテイカーは厚みもあったのだ。

これ以降、クリックに対抗する存在としてアンダーテイカーは弱い立場の選手の守護神として機能した。


やがて、選手会長となったアンダーテイカーは若手や新入りに教育を施しながら自身もメインイベンターとして低迷期に入っていたWWFを支えていた。
それは団体名がWWFからWWEに変わったあとも機能していた。

彼の王座は20年近くも機能しており、1995年から2010年まで彼の威光は機能していたともいわれている。

だが、それには裏の一面があった。



WWEの裁判長

アンダーテイカーには裏の顔があった。

WWEの裁判長、俗にいう「プロレス裁判」の裁判長を務めていたのだ。
これは彼が選手たちのリーダーであったからこそできたことなのだ。


上記でも挙げたようにブルーザー・ブロディが刺殺された事件のようにレスラー同士のもめごとが最悪のケースをまねかないようにアンダーテイカーやWWEの総帥ビンスマクマホンが考えたものだった。

では、このプロレス裁判とはどういうものがあったのだろうか。


ある日、若手レスラーのミズがバックステージでフライドチキンを食べていたその粉がベテランレスラーであったクリス・べノワのバックにあたった。
このことがきっかけでべノワは激昂。

その時開かれたのがプロレス裁判であった、アンダーテイカーは若手レスラーのミズをしばらくトイレで着替えさせるという独自の判決を開きこのトラブルを仲裁。


またある時、現在はハリウッドスターでも知られるデイブ・バウティスタことバティスタが女子レスラーのメリーナと交際を始めることがおきた。

ところが、メリーナには別のレスラーの彼氏がいた。
つまりは浮気だったのだ。


またメリーナは他の女子選手ともめごとを多く行い、所詮モデル上がりの女子レスラーを侮辱するなどトラブルを引き起こすトラブルメーカーでもあった。

我慢の限界にきたレスラーたちはアンダーテイカーにプロレス裁判を開くことを申し入れた。


テイカーは検事係のレスラーを集めるとメリーナを囲み泣いて謝罪をさせたといわれている。
その後、メリーナはWWEを解雇されることとなった。


冷静にみればパワハラであるが、この当時はいざこざがおこってリンチに発展しかねないという事態もあった。


そういったことを防ぐためにはこういう一種の裁判ごっこが必要だったのだといわれている。

名実ともにアンダーテイカーはWWEの秩序を守る守護神でもあったのだ。



バックステージのボスの引退

そんな中、アンダーテイカーはとうとう引退を発表した。


世界中でコロナウィルスが猛威を振るう2020年、アンダーテイカーは突如引退を発表した。

そして、今年2022年にはWWE殿堂入りを果たした。

これでいったんは現役引退ということになるだろう。


アンダーテイカーの引退理由

その理由は高齢によるもの。

あるいは、プロレスでやることは全てやりつくしたからともいわれている。
そんな彼は現在何をしているのだろうか。


実は彼は複数の不動産を持っているのだ。
その不動産に住んでいるのはなんとあのハリウッドスターのブラット・ピットであるといわれている。

WWEを守った守護神は、今度はハリウッドセレブの住み家を守っているのだ。


では、そんな彼はプロレスに戻ってくるのだろうか。
殿堂入りの記者会見でテイカーはこういった。

「Never say never.」

これはプロレス業界では有名な言葉だ。
「ありえないことなどない」


つまり、いつかは何らかの形で戻ってくるかもしれない。
しかし、それは今ではないのだろう。