スポーツアジェンダ

人生の転機 スティーブ・オースティンの場合

最凶のタフ野郎の始まり

世界最高の団体であるWWE、そんなWWEで一番のレスラーとは誰だろう。

いろいろ考える人間がいるが、自分の中ではやはりスティーブ・オースティンではないかと思う。


スティーブ・オースティンは1964年にアメリカ、テキサス州で生まれた。
文武両道で知られたオースティンは大学に進学した。
しかし、論文作成に嫌気がさしたオースティンは大学を中退した。
そして選んだ道は幼いころより愛着を感じていたプロレスであった。
地元の団体に上がったオースティンは1989年にデビューを果たした。

これが彼の人生の始まりでもあったのだ。



ストーンコールドになる前のオースティン

そんな彼はECW・WCW・新日本プロレスと世界中を駆け巡りながらプロレス人生を歩んでいた。

WCWでは親友となるブライアン・ピルマンとともに「ハリウッドブロンズ」というタッグチームを結成した。

新日本プロレスのリングでは1992年のG1 CLIMAXという大大会でグレートムタこと武藤敬司と試合を行うこともあった。


そんなオースティンを新日本プロレスの解説にいたマサ斎藤は高く評価した。

彼もまた北米で成功した男だった。
彼の眼にはオースティンはスターの候補にもみえたのだ。
そして、1995年オースティンはとうとう世界最高の団体現WWEことWWFへと上がることとなった。


しかし、ここでは大きな挫折が彼を待っていた。



苦難と成功

1995年WWFに入団したオースティンはリングマスターという名前で入団することとなった。
ここでの彼はなんと技巧派レスラーのリングマスターというキャラクターだった。
しかし、これは鳴かず飛ばずで終わった。


大いに悩んだオースティンであったが、成功の道はそこまで遠くはなかった。

1990年代当時、世界中で「脱・王道」の風潮が生まれていた。
当時日本で流行していたアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」はまさに脱王道であった。

アメリカでもDC・MARVELとは別のコミックであった「イメージコミック」によるスポーンが世界的なブームになっていった。

これはプロレスというリングでも徐々に脱王道が求められていることにもつながっていった。


観客の多くはファミリー向けのWWFを毛嫌いしていた。

そして、悪の軍団nWo中心のストーリーが展開されたWCWに注目していったのだ。

現にこのころWWFはWCWに視聴率戦争で敗北していったのだった。


1996年自身のキャラに悩んだオースティンは家で悩んでいる最中に妻にコーヒーを勧められた。

長い間悩んでいる間にコーヒーは冷たくなっていった。

その時に妻はこういった。
「石のように冷たくなるわよ」

この時、彼はひらめいた。

石のように冷たくなる、ストーンコールド。


やがて彼は荒々しい連続殺人鬼をベースにストーンコールドというキャラクターを突き詰めていった。


善玉でも悪玉でもない、自由気ままに気に入らない相手をぶちのめすアンチヒーローのストーンコールド。

ファンの多くはストーンコールドにキャラチェンジをしたオースティンを高く評価した。

そして、1997年彼はWWF最大の大会であるロイヤルランブルで優勝を果たす。


彼のキャラチェンジに影響されるように、団体も変わっていった。



救世主オースティン

WWFの総帥であったビンス・マクマホンは当時実況アナウンサー兼裏方というポジションにいた。
しかし、そんな彼の行った事件が問題となった。


その事件は「モントリオール事件


主人公の一人であったブレット・ハートを脚本を無視した展開ではめて追放した事件であった。

これがきっかけで業界最大の悪となったマクマホンはWCWに対抗するために「悪のオーナー」としてリングに上がることとなった。

このマクマホンに対抗する相手として選ばれたのがオースティンだった。


パワハラを張り巡らせるマクマホンを必殺技で仕留めるオースティンの姿は全米に受け、1998年以降WWFは視聴率戦争に勝利していった。

オースティンのキャリアチェンジはなんと、団体を救うこととなった。


2000年になるとWCWは崩壊をした。

WCWとECWというかつてのライバル団体をそのまま吸収したWWFはかくして世界最大の団体になった。

そんな彼のライバルであるドウェイン・ジョンソンことザ・ロックも知名度をあげていった。

やがて、WWFはWWEに会社名を変えた。

そして、2003年彼は現役生活から引退をした。

長い間患っていた首の傷が原因だといわれている。

そして、現在彼はたまにリングに上がりながらも生きている。


しかし、WWE/WWFの長い歴史をみてもオースティンほど人気を得たレスラーはもう出てこないのではないだろうかと個人的には思っている。