若い言語聴覚士(以下ST)が抱える諸問題
言語聴覚士(以下ST)の専門領域が、リハビリテーションの社会的な需要が高まるにつれて近年注目されつつある。
しかし、STは(これは業界全体に当てはまることではあるが)慢性的な人手不足が原因で、段階的なキャリア形成が非常に難しく、経験則に基づいた治療が、STの間でなかなか共有できないというのが昨今の現状である。
さらに患者の症状によっては(理学療法士など)リハビリテーションという類似分野の知識を必要とされる場合がたいへん多く、若いST達は混乱しきっているという印象だ。
そして、ワーキングプアな言語聴覚士が存在するという都市伝説が、言語聴覚士になる人をすくなくしている。
具体的な改善策として、主なスケジュールの各セッションをパスしたとみなす数値基準の共有、またどうしてその数値基準なのか?というフォローの徹底など様々挙げられる。
だが、今一番必要が叫ばれているのは、現場で働いているST達の心のケアであり、今後STの専門領域が成熟していくためにも、士会を中心としたST達の個別のケアが最優先ではなかろうか。
言語聴覚士は給与での待遇ではそこそこいいのにワーキングプアだという誤解が社会に蔓延していることは看過できない。
なんにせよ、STという分野は最初に触れたように今後ますます必要を増し、多種多様な臨床現場に活躍の幅を広げていくはずである。
上記の諸問題に早期かつ柔軟に対応し、若いST達の不安が一掃されることを切に望むという一文をもって結びの言葉としたい。